買取を依頼したくても店に行く時間がない、というときに便利なのが出張買取です。はじめて出張買取を利用する際に気になることもあるでしょう。特に悪徳業者にあたってしまわないか注意が必要です。そこで、出張買取で起こり得るトラブル例や対処法について紹介します。
池邉和美:なごみ行政書士事務所所長。「お金の終活」(すばる舎)、「残念な実例が教えてくれる「きちんとした、もめない遺言書」の書き方・のこし方」(日本実業出版社)著者。勉強会・セミナー講師経験多数。愛知県常滑市を中心に遺言書作成サポートや古物商許可申請サポート等を行なっている。なごみ行政書士事務所
この記事のポイント
悪徳業者の出張買取で起こり得るトラブル
悪徳業者は店舗を持っていないことも多く、買取手段として個人宅を回ることがあります。また、店舗があっても評判が悪い業者もいるため、注意しましょう。出張買取でのトラブル例を紹介します。
無料で引き取られてしまった
値段がつくはずのものに対し、「これはもう古いので無料引き取りになります」など何かと理由をつけて、無料で引き取ろうとする悪徳業者もいます。 このような悪質な手口で入手した品物を高額で販売し利益を得るのです。
値段がつかないといわれた品を、ほかの店で査定してもらったら売れたというケースもあります。 無料引き取りに納得がいかないなら、無理に引き取ってもらわずに、後日別の店に査定に出しましょう。
強引に売却を勧められたケース
品物を実際に見てもらった結果、「希望の価格をつけてもらえなかった」などの理由で断っても、強引に買い取られてしまうトラブルがあります。
「このままでは上司に叱られる」「ここまで来るのに経費もかかっているのに、何も買い取らないままでは帰れない」など、泣き落としや脅しまがいの言葉で、こちらが頷くまで居すわる悪徳業者がいるケースもありますが、この場合は毅然とした態度で断ることが大切です。
たとえ強引に買いられてしまったとしても、その後やはり物品を返してほしいと思ったら、クーリングオフ制度を利用すれば8日間は契約のキャンセルが可能です。悪質で帰ってもらえないなどの場合は、思い切って警察を呼びましょう。なお、事業者に「この契約はクーリング・オフできません」「クーリング・オフをすると高い違約金がかかります」等とウソをつかれた結果期間を経過してしまった場合等には、8日の期間経過後であってもクーリング・オフが可能です。
出張買取で起こり得るトラブルって?対処方法を知って上手に買取しよう!【行政書士監修】
後から金額が変わってしまった
最初は高値を提示してくれたのに、買取成立した後日になって連絡をしてきて、「瑕疵が見つかったので査定が下がる」と伝えるなど、後から査定金額を下げてくるケースがあります。本来、こうした瑕疵については査定時に全てチェックするべき部分です。また、後から査定金額を一方的な連絡で下げてくる契約は原則として無効にできます!
具体的にどのような瑕疵があったのか詳しく教えてもらえない、傷をつけた覚えがないなど、不審な点がある場合は怪しいです。万が一のために、 高価な品は査定前に写真を撮っておくといいでしょう。
契約成立後にキャンセルができない
出張買取をお願いしたあと、キャンセルしようとしたら、できないと言われトラブルになることがあります。パターンとしては契約前・契約後の解除が考えられます。
まず、査定の段階で金額に納得することができなければ契約をしないことは問題ありません。もし、「出張買取に来ているから契約は必須」と言われても毅然とした態度で断りましょう。
一方、買取契約が成立した後のキャンセル(契約成立後の解除)は、クーリング・オフ期間を過ぎたら基本的に不可能です。ただし、上記のように、強引に売却を促されたケースの場合は期間を過ぎてもクーリング・オフができるのでしかるべき専門家に相談しましょう。
悪徳業者の中には、買取契約後にキャンセルができるものの高額なキャンセル料を請求されるパターンも見受けられます。しかし、キャンセル料は、キャンセルによって生じた損害を超えると判断された分は無効にできます。
売るものによっては受け付けてもらえない
買い取りしてほしいものが1つだけしかない場合や、古すぎて需要がないなど、ほとんど値段がつかない場合は、買取を断られることがあります。 買い取り後の在庫管理や、買い取りに行くことそのものにも費用が必要なので、売れる見込みがないと業者も断らざるを得ません。
1点から買い取り可能な買取店を探したり、事前に見積もりをもらって、売れることを確認してから売ったりするとスムーズです。
買取のトラブルを避ける方法
トラブルの話を聞くと、自分が遭遇する可能性を考えてしまい、不安になりがちです。しかし、トラブルが目立つ分、悪徳業者を見抜く方法や、いざトラブルが起きたときの対処法もきちんと確立されています。安心して買取契約ができるよう、しっかりと準備をしておきましょう。
依頼は自分で調べてからお願いする
買取のトラブルは、訪問や勧誘で業者が訪れたときに起こることが多いです。実は、依頼していないのにも関わらず買い取りにやってくる、飛び込み営業は法律で禁止されています。そのため、突然訪問してきた業者を家に上げるのはやめましょう。 安全に買取してもらいたいなら、まず自分で信頼できる業者を探し、その業者に自分から連絡して来てもらうのが大切です。
「特定商取引に関する法律」によって、アポなしでの訪問買取や、当初の目的以外のものの買い取りなどが禁止されています。 突然やってくる業者は悪徳業者と思って差し支えありません。
違法業者でないか確認する
依頼する前に、その業者についてインターネット検索し、公式ホームページや評判などを確認しましょう。 買取業者は星の数ほどあり、中には違法営業している業者もいます。優良な業者であれば、ホームページなどに営業許可の番号はもちろん、出張料の有無や、キャンセル時の対応などについても細かく記載されているはずです。
社歴が長く、インターネットにこれらの詳しい情報を掲載している業者は信頼できる可能性が高いです。とはいえ、巧妙な手口で取り組んでいるケースもあるため、安心できる業者だと確信を持ってから依頼しましょう。
会社名や電話番号で調べると、業者としての評判や、電話勧誘の内容などを確認できます。 評判が見つからない場合は、毎回適当な社名を名乗っている可能性もあるので、依頼を控えましょう。
事前見積もりがあれば出してもらう
商品査定前の見積もりはなるべく利用しましょう。買取店によっては、LINEで写真を送ると目安の金額を教えてもらえるサービスなどを用意しています。 また、電話やメールで見積もり依頼を受け付けているところもあります。 見積もりしてもらうことで、金額の相場がわかるのはもちろん、予想より高い・低いをあらかじめ知ることができるので、実際に査定してもらったときに齟齬が起きにくくなるでしょう。
LINE査定は24時間好きなときに依頼できるのはもちろん、1点だけ試しに価格を知りたいなどのニーズにも対応します。 顔を合わせずに依頼できるのもメリットです。
売りたいものの買取相場を事前に調べる
買取相場を、インターネット検索や見積もりなどで事前に調べておくと、不当な買取金額を提示されたときに気がつきやすくなります。 買取相場は日々変動するので、買取のあった日付もよく確認しましょう。
買取店のホームページでも、高価買取中の品や、買取実績などを掲載していることがあるので参考にしてください。 希少価値が高いなどの理由で取引例が少ない場合は、いくつかのお店に問い合わせるのがおすすめです。
古物商許可の有無を調べる
買取を扱う業者は、必ず古物商許可を取得する必要があります。 依頼する前に、本当に許可を取って営業している買取店なのかどうか確認しましょう。買取店のホームページがあれば、会社概要などのページに必ず、古物商許可の番号が記載してあるはずです。
各都道府県の公安委員会が、古物商許可をとった業者の一覧をWeb上で公開していることもあります。疑義がある場合には管轄の警察署へ確認する手段も有効です。 番号と照らし合わせ、本物か確認しましょう。
古物商許可を取得するためには、数十日に渡るしっかりした審査があるので、古物商許可を持っているか確認するだけでも悪徳業者の見分けがつきやすくなります。
あまりにも悪質な場合は消費者ホットラインに電話するのも方法
悪質なトラブルに遭遇して自分では解決できそうにないと感じるのなら、消費者ホットラインを頼りましょう。 「188」に電話をかけると、お住まいの地域を管轄する消費生活センターなどを紹介してもらえます。
消費生活センターでは、トラブルに対する対処法や、トラブルの内容が違法にあたるかどうかの目安なども教えてもらえるでしょう。泣き寝入りする前に試してみてください。
「188」は全国共通の番号で、どこに連絡したらいいのかわからない場合に案内してくれる、総合窓口のような役割があります。 メモしていつでも連絡できるようにしておきましょう。
楽器の買取屋さんなら安心して買取できる!
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楽器の買取屋さんは古物営業の許可店。プロによる確かな査定力と豊富な買取実績が自慢です。
買取品目も多いため、売れるか分からないといったお品物も一度査定に出してみる価値が十分にあります。買取査定は下のページから無料で行えるのでお気軽にお問合せください。
出張買取はとても便利なものですが、残念なことに悪徳な業者も少なくありません。古物営業法、消費者契約法等の基本的なルールやクーリング・オフ等の制度を正しく知った上で、自己防衛をしつつ利用される必要があるでしょう。また、買取や査定に来てもらう際は1人で対応するのではなく、できるだけご家族やご友人等にも立ち会ってもらうことをお勧めします。