ジミ・ヘンドリックス、エリック・クラプトン、リッチー・ブラックモアなど、数多くのレジェンドが愛したFenderのストラトキャスター。ロック、ブルースからヘヴィメタルまで、ジャンルの垣根を超えたギターと言えるでしょう。
ロックのアイコン的なエレキギター・ストラトキャスターの魅力をお伝えします。
この記事のポイント
ストラトキャスターとは?
ストラトキャスターはレス・ポールと並んでエレキギターの定番。ギタリストであれば誰もが一度は手にしたことがあるでしょう。こちらではその歴史やスペックをご紹介します。
僕が初めて手にしたエレキギターはFender Japanのストラトキャスターでした。今でもストラトキャスターには特別な思い入れがあります。
ストラトキャスターの歴史
今でこそエレキギターの定番となったストラトキャスターですが、これまでにどういった歴史を歩んだのでしょうか。ストラトキャスターの歴史を振り返ります。
ストラトキャスターの誕生
1949年にテレキャスター(その当時はエスクワイヤー)を発売したFenderは、それに次ぐギターの開発をスタート。テレキャスターはネックとボディをボルトオンにして大量生産を可能にしましたが、ストラトキャスターはさらに製造の簡易化が行われたのです。
代表的な特徴はピックガードでしょう。ピックアップやノブをピックガードに取り付けられるので、ネジ止めだけで製造ができるようになったのです。こういった工夫によって、ストラトキャスターは1954年に誕生しました。
参考:テレキャスターの歴史・スペック・種類を徹底解説!Fender初のエレキギターが大ヒットした理由は?
ジミ・ヘンドリックスの登場
Fenderはカントリーのギターサウンドを想定してストラトキャスターを設計しましたが、ジミ・ヘンドリックスのプレイは全く異なるものでした。
Marshallのマスターボリュームを上げたオーバードライブ・サウンド、叫び声のようなアーミング。ストラトキャスターを手にしたジミ・ヘンドリックスは、これまでの常識を打ち破るパフォーマンスで世界を熱狂させたのです。
まさかこのようなプレイをするとは想定していなかったため、Fender創業者のレオ・フェンダーは激怒したと言われています。しかしジミ・ヘンドリックスによって、ストラトキャスターのポテンシャルが引き出されたと言えるでしょう。
僕もジミヘンは大好きです!『FIRE』はライブで演奏したこともあります!
1970年代以降のストラトキャスター
ジミ・ヘンドリックスによってそのポテンシャルが開花されたストラトキャスター。これによって多くのギタリストがストラトキャスターを手に取ることになりました。
中でも代表的なストラトキャスター使いのギタリストはエリック・クラプトンでしょう。しかしクラプトンはストラトキャスターを使いながらも、一切アーミングをしないことでも知られています。これは「ジミのアーミングを超えることができないから」だそうです。
そのほかにジェフ・ベック、リッチー・ブラックモアなどのレジェンドたちも、ジミ・ヘンドリックスからの影響を公言しています。
2004年にリッチー・ブラックモアはBlackmore's Nightとして来日。僕はそのライブを観ているんですが、そこでリッチーはギターソロタイムで『Purple Haze』のリフを弾いていました。
イングヴェイ・マルムスティーンは、ジミ・ヘンドリックスのライブ映像をテレビで観たことでギターを始めたそうです。もちろんスティーヴィー・レイ・ヴォーンなど、ブルース・ギタリストたちからもリスペクトされています。ストラトキャスターを使ったレジェンドたちは、誰もがジミ・ヘンドリックスの影響下にあると言えるでしょう。
そんなストラトキャスターは、ジョン・メイヤーやジョン・フルシアンテなどのギタリストに受け継がれています。
ジミヘンと同時代に活躍したストラト・プレイヤーといえばロリー・ギャラガー。「世界一のギタリストになった気分は?」と聞かれたジミヘンは、「それはロリー・ギャラガーするべき質問だよ」と答えたそうです。このエピソード大好きなんですよね。
ストラトキャスターのスペック
カントリー、ファンク、ブルース、ロック、ハードロック、ヘヴィメタル、あらゆるジャンルで活躍するストラトキャスター。そのスペックはどうなっているのでしょうか。ストラトキャスターのスペックを解説いたします。
ボディ
ストラトキャスターはエレキギターのベーシックなモデルで、特にボディはその後のエレキギターに大きな影響を与えました。こちらではボディ特徴をお届けします。
形状
ストラトキャスターはテレキャスターと同様のカッタウェイなので、ハイフレットへのアクセスが容易になっています。しかしテレキャスターとの大きな違いは、ダブルカッタウェイということでしょう。これはボディバランスを考えた上での加工とされています。
さらにエルボーカットとボディ裏面のコンター加工によって、身体にフィットする形状となっています。
木材
ストラトキャスターのボディ材は大きくアッシュとアルダーに分けられます。アッシュは木目が詰まった硬い木材であるため、立ち上がりの速いクリスピーなサウンドが特徴。ジャキっとしたクランチに向いています。
アルダーはアッシュと比べて柔らかい木材で、ミドルが強調されたサウンドです。これによって幅広いジャンルに対応できるでしょう。またアルダーは軽いので、取り回しが楽というメリットもあります。
最近はバスウッドのストラトキャスターが増えています。安価な木材なのでチープな印象を持つギタリストもいますが、バランスの良いサウンドは魅力的です。
塗装
ストラトキャスターの塗装は大きくラッカーとポリウレタンに分けられます。ラッカー塗装は非常に薄い仕上がりなので、ギターの鳴りを阻害しません。
ラッカー塗装は製造の手間がかかるので、高級モデルのギターに限定されてしまいます。さらに気温や湿度の変化に影響を受けやすく、ウェザーチェックと呼ばれる細かいヒビが入ることも。しかしそれもギターの味なので、気にしないギタリストも多いでしょう。
過去にラッカー塗装のストラトを使っていたんですが、間違ってアルコール入りのウェットティッシュで拭いてしまったことがあります。その場所だけ少し塗装が薄くなっちゃったんですよね…。本当にアホでした…。
ポリウレタンは気温や湿度に強いのでウェザーチェックの心配がありません。さらに塗装の手間がありませんので、ポリウレタンはリーズナブルというメリットもあります。管理が楽なのでビギナー向けと言えるでしょう。しかしポリウレタンは鳴りが悪いというデメリットもあります。
参考:ギター高額買取のポイントを査定担当が徹底解説!高値で売るコツを現役査定員が教えます
ネック
ストラトキャスターのネックはCシェイプ、Vシェイプ、Uシェイプに分けられます。ネックの断面図がアルファベットの形に似ていることから名付けられました。Cシェイプは最もスタンダードなネックで、バランスの良いプレイができるでしょう。
Vシェイプは親指を引っ掛けやすいので、速弾きなどテクニカルなプレイに向いています。Uシェイプは太く丸みのある形で、コードストロークを多用するギタリストに人気です。
個人的にはVシェイプがお気に入りです。
またストラトキャスターのスケールは25.5インチ(約647.7ミリ)で、エレキギターの中でも長いスケールです。これによってギターのテンションが強くなり、ストラトキャスター独自の立ち上がりの速いサウンドを生み出しています。
フィンガーボード
ストラトキャスターのフィンガーボードはメイプルとローズウッドがあり、メイプルはハイが強いキラキラとしたサウンドが特徴です。クリーントーンやクランチで効果を発揮するでしょう。
ローズウッドはローミッドが強調されたサウンドで、粘りのあるチョーキングができます。これはブルースやハードロックのリードプレイに最適です。
またイングヴェイ・マルムスティーンやリッチー・ブラックモアは、フィンガーボードにスキャロップ加工を施しています。これは触れるような感覚で押弦ができるので、速弾きギタリストに多く見られる改造です。しかし強く押弦してしまうと音程がシャープしてしまうので、音程のコントロールが難しくなってしまいます。
ヘッド
ストラトキャスターのヘッドはスモールヘッド・ラージヘッドの2種類あります。
スモールヘッドは最もスタンダードなヘッドなので、ギタリストであれば誰もがご存知でしょう。ラージヘッドの名前の通り少し大きいサイズのヘッドで、Fenderのロゴを見えやすくするために導入されたと言われています。
Fenderは1965年~1985年までCBS(アメリカの放送局)に買収されており、ラージヘッドはこの時代に誕生しました。ちなみにこの時代のFenderはCBS Fenderと呼ばれています。
僕はCBS Fenderのストラトキャスターを持っていました。歪ませると芯の通った図太い音がしましたよ。CBS Fenderを避けるマニアもいるんですが僕は大好きです!
トレモロ
ストラトキャスターはシンクロナイズド・トレモロも特徴です。これまでもビグスビーのようなビブラート・ユニットがありましたが、可変幅が狭く構造も複雑でした。しかしFenderの開発したシンクロナイズド・トレモロはシンプルであるにも関わらず、大きな可変幅で大胆なアーミングを可能にしたのです。
ピックアップ
ストラトキャスターのピックアップ構成は基本的にスリー・シングルです。3つのピックアップの切り替えと、リア+センター、フロント+センターのハーフトーンの切り替えが可能となっており、これによって幅広いサウンドに対応できます。
今でこそ5WAYのセレクターで切り替えていますが、当初のストラトキャスターは3WAYのセレクターでした。その当時はハーフトーンという考えは無かったのです。
ストラトキャスターのセレクターをリアとセンター(フロント)の間で止めることで、ハーフトーンを出すというテクニックが編み出されました。これはジミ・ヘンドリックスやエリック・クラプトンもやっていたテクニックです。このハーフトーンが人気となったため、その後のストラトキャスターは5WAYのセレクターを導入。今では5WAYが当たり前となりました。
【機能別!】ストラトピックアップを交換するならどれがいい?
改良されたストラトキャスター
ストラトキャスターは伝統を大切にしながらも、変化する音楽シーンに合わせて進化を続けました。こちらでは進化の例をご紹介します。
ヘヴィメタルに対応
1980年代になると世界的にヘヴィメタルが流行し、よりヘヴィなギターサウンドが求められるようになりました。レス・ポールやSGなどGibsonのギターであればヘヴィなサウンドも出せましたが、従来のストラトキャスターはパワー不足だったんです。
そのためHH、SSHなどのピックアップ構成のストラトキャスターを製造し、ヘヴィなサウンドを実現させたのです。さらにより過激なアーミングをするため、さらにはフロイド・ローズを搭載したストラトキャスターも発売されています。
ザグリせずにハムのサウンドを出すのであれば、シングルサイズのハムという選択肢もあります。僕はストラトにDiMarzioのFAST TRACK2を乗せたことがありますが、ヘヴィな音でお気に入りでした。
参考:ギター用ピックアップの買取価格査定の相場!高値で売るコツを解説
チューニングの安定
近年のストラトキャスターはロックペグ、ローラーナット、2点支持トレモロなど、ルックスをさほど変えずにチューニングを安定させるパーツが導入されています。
どのようなギターでもチューニングの安定性が求められます。フロイド・ローズであれば狂いを最小限に抑えることができますが、ルックスや弦交換の手間から敬遠するギタリストも少なくありません。
ジェフ・ベックのシグネイチャーモデルに積極的に導入されていますね。キャリアを重ねながら、新しい技術を追求するジェフ・ベック。この貪欲な姿勢は本当に尊敬します。
ストラトキャスターの買取価格
Fenderが誇るロックアイコン・ストラトキャスター。もし売却をご希望の際は楽器の買取屋さんが高価買取いたします。
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「【相場・査定例】Fender(フェンダー)・ストラトキャスターの買取価格!高額査定が期待できるFender(フェンダー)・ストラトキャスターのモデル」のページでは、ストラトキャスターの査定例を紹介します。