世界中のメタルギタリストにとって“5150”は神聖な数字。この4ケタの数字を目にするだけで、あの圧倒的な音圧とハイゲインサウンドを思い出すものです。
メタルギタリストにとってピーヴィーの5150は、印象深いアンプと言えます。ハイゲインアンプの先駆けでありながら、現在もトップの地位を守り続ける5150の魅力に迫ります。
この記事のポイント
ピーヴィー・5150とは?
メサ・ブギーのレクチファイア、マーシャルのJVMなどのハイゲインアンプがありますが、5150にこだわるギタリストは多いもの。
どのようなアンプシミュレーターにも5150はモデリングされています。こちらではその人気の理由はご紹介しましょう。
5150の歴史
5150は1992年にピーヴィーから発売されました。発売以来そのハイゲインサウンドは多くのギタリストから愛されています。
5150の歴史を振り返りましょう。
エディ・ヴァン・ヘイレンと共同開発
ピーヴィーは1965年にアメリカで創業したアンプメーカーです。80年代はVTM120などのアンプが人気を博していましたが、最大のヒットといえば5150でしょう。
ピーヴィーのVTM120は初期のXでHIDEが使っていましたね。
90年代に突入してマーシャルがJCM900を発売し、世の中のギタリストがより過激なハイゲインを求める時代でした。
そこでピーヴィーはアメリカのロックシーンを代表するギタリスト、エディ・ヴァン・ヘイレンとアンプを共同開発に乗り出しました。
エディ・ヴァン・ヘイレンのサウンドはブラウンサウンドと呼ばれており、1978年のデビュー以来世界中のギタリストからリスペクトされているギターヒーロー。ハイゲインアンプの開発をするためにエディはうってつけだったのです。
ピーヴィーとエディの共同開発で誕生した5150は、5本ものプリ管を搭載。これによって作り出されるハイゲインは常識を覆すレベルで、現在もジェントやメタルコアでも十分通用するサウンドです。そしてアンプの名前はVAN HALENのアルバム『5150』が由来となっています。
5150の読み方は“フィフティーワン・フィフティ”が正しいんですが、“ゴーイチゴーマル”と読む人もいますね。僕はゴーイチゴーマルです。
5150の後継機
エディ・ヴァン・ヘイレン本人やユーザーのリクエストに応え、5150は後継機も発売されています。
5150の後継機もハイゲインアンプですがそれぞれに特徴があるので解説しましょう。
5150II
初代5150のハイゲインは無敵のサウンドではありますが、ノイズが多いというデメリットがありました。そして歪みに力を注いでいるため、クリーン・トーンの評判が悪かったのです。
5150IIはノイズの多さやクリーン・トーンの課題をクリアしたアンプで、現在も多くのギタリストが使用しています。
初代5150はクリーンとドライブの2チャンネルでしたが、イコライザーが共通でサウンドメイクに制限がありました。しかし5150IIはイコライザーが独立しているため、より幅広いサウンドメイクが可能になっています。
5150Ⅲ
これまではピーヴィーによって開発されていた5150シリーズですが、エディとの契約が終了したことでピーヴィーは5150の名前が使えなくなりました。5150という名称はエディが権利を持っており、エディはフェンダーと共にEVHというアンプメーカーを設立します。
そんなEVHから発売された後継機が5150IIIです。 5150IIIは3チャンネル仕様となっており、ハイゲインだけでなくクラシックロックにも対応するアンプです。
EVH ヘッドアンプ 5150 III
“初代5150や5150IIは古いからイマイチ”というわけではありませんよ。それぞれに特徴がありますので、求めるサウンドに合わせて選びましょう。
現在の名称
エディとの契約が終了したことで、ピーヴィーは5150という名前が使えなくなりました。そのため現在は名称を変えて販売されています。
・初代5150→6505
・5150II→6505+
以上のようになっていますので、5150サウンドを求める方は参考にしてください。もちろん名前が変わっているだけで、サウンドは全く同じです。
僕は初代5150が最も好きです!
5150のフロントパネル
5150のフロントにはRESONANCEやPREとPOSTのGAINなど、ほかのアンプでは見かけないツマミがあります。これらの使い方を知ることで5150のポテンシャルが引き出せるでしょう。
5150のフロントパネルについて解説いたします。
各チャンネルの特徴
5150はRHYTHMとLEADの2チャンネル仕様となっており、RHYTHMチャンネルはCRUNCHボタンのオン・オフによって歪みのオン・オフが可能です。そのため3チャンネル分のサウンドが出せます。
5150の注意点は、フットスイッチによってチャンネルコントロールができますが、RHYTHMとLEADの切り替え、エフェクトループのオン・オフしかできません。RHYTHMチャンネルのCRUNCHオン・オフは、フロントパネルのボタンで操作する必要があるのです。そのため5150でライブ中にクリーン・トーンを使う場合は注意しましょう。
ライブでクリーン・トーンを使うのであれば、ABボックスを使ってJC120から出すことをおすすめします。JC120なら大抵のライブハウスに置いてありますから。
2種類のINPUT
5150にはHIGH GAINとNORMAL GAIN(コンボの場合はLOW GAIN)という、2種類のインプットがあります。
名前の通り、歪み量の違いです。5150本来のハイゲインサウンドを求めているのであれば、HIGH GAINインプットに挿してください。 逆にNORMAL GAINは歪み量が低く設定されていますので、ギターロックやハードロック向きのサウンドです。
5150は歪ませてナンボのアンプ。つべこべ言わずHIGH GAINに挿すべきです!
PREとPOST
どのようなアンプにもGAINのツマミがありますが、5150にはRHYTHMとLEADのそれぞれにPRE GAINとPOST GAINが用意されています。
PREは一般的なアンプのGAINと考えましょう。PREを上げることで徐々に音が歪んでいきます。 POSTはボリュームのようなものです。そのためPREで欲しい歪み量を決定し、POSTで全体の音量を決めてください。 しかしPREを上げても音量が多少上がりますので、PREとPOSTのバランスを考えながらサウンドメイクしましょう。
PRESENCEとRESONANCE
5150にはPRESENCE(プレゼンス)とRESONANCE(レゾナンス)のツマミがあります。
PRESENCEはHIGHやTREBLEよりもさらに高い周波数をブーストする際に上げてください。これを搭載したアンプは多いので、ご存知の方も多いことでしょう。
RESONANCEは逆に低い周波数をブーストするツマミです。RESONANCEを搭載したアンプは珍しく、5150サウンドの肝となっています。
5150独自の強烈な音圧はRESONANCEのブーストによるものです。
5150のセッティング
ハイゲインアンプ界で不動の人気を誇る5150ですが、僕なりにサウンドのセッティングをしてみました。
今回はコンボタイプ60Wの5150で、ツーハムバッカーのギターを使用しています。僕のセッティングを参考にしてもらえると嬉しいです!
クリーン・トーン
ハイゲインを得意とする5150ですが、もちろんクリーン・トーンを出すことも可能です。
NORMAL GAIN(コンボの場合はLOW GAIN)に挿して、チャンネルはRHYTHMでCRUNCHはオフ。PREは2にしておきましょう。これより上げてしまうと少し歪んでしまうんです。
LOWは4.5、MIDは4にしてください。これでクリーン・トーンが適度に太くなって、バンドサウンドの中でも存在感が出せます。HIGHは5.5~6くらいにするとキラキラ感が出せますね。5150はBRIGHTスイッチもあるんですが、不自然な音になるのでオフにしました。
クリーン・トーンでRESONANCEを上げてしまうと、ボワボワとしたサウンドになってしまいます。2.5くらいで十分でしょう。
クランチ
クランチだったらNORMAL GAIN(コンボの場合はLOW GAIN)に挿して、チャンネルはRHYTHMです。
CRUNCHをオンにしてPREは2.5程度にすると、オーバードライブ風の歪みになります。
適度なパワーを出すためにLOWは5.5、MIDは上げ過ぎると音の立ち上がりが遅くなるので4くらいで。ジャキジャキ感を出すためにHIGHは6.5まで上げました。
太さとパワー感のバランスを考えるとRESONANCEは3、ギラリとした高音を出すためにPRESENCEは6くらいです。このセッティングでも太過ぎるようでしたら、LOWとRESONANCEを少し下げましょう。
5。150で初めてクランチを作ってみましたが、これ悪くない音ですよ!意外な発見でした。
ハイゲイン・バッキング
5150本来の持ち味を活かすなら、やっぱりハイゲインですね。
HIGH GAINに挿してチャンネルはRHYTHM、CRUNCHもオンにします。PREは6で十分ハイゲインです。
LOWは7にするとブリッジミュートに破壊力が出ます。リフに切れ味を出すためにMIDは4、HIGHは6。やっぱりドンシャリのセッティングですね。
ちなみに、RESONANCEは8まで上げました。この低音による音圧こそ5150の醍醐味です。プレゼンスは上げ過ぎると耳障りなガリガリ音が出るので、3にしておきました。
とにかくブリッジミュートの音圧が凄いんです。メタルギタリストであればゾクゾクするような音圧です!
ハイゲイン・リード
いよいよLEADチャンネルの出番ですね。PREは6まで上げてください。これより上げてしまうとピッキングニュアンスが出せません。
LOWを7まで上げることで音が太くなり、ハイゲインらしいリードサウンドになります。MIDは6まで上げることで適度にマイルドな音になり、滑らかに速弾きができるでしょう。
HIGHは上げても良いんですが、少し耳障りなピッキングノイズが出るので2にしておきました。これはピッキングの癖が影響しているので、もう少し上げても良いでしょう。
RESONANCEは7にするとサウンドに粘りが出るので、チョーキングやビブラートがかけやすくなります。HIGHと同様にピッキングノイズが気になったので、PRESENCEは2~2.5にしました。
とにかく速弾きとレガートが滑らかになるので、テクニカル系ギタリストにピッタリですね!サスティーンもしっかり伸びるので、気持ちよくチョーキングできます。
5150の感想
多くのアンプシミュレーターにモデリングされているので、5150のサウンドをご存知の方も多いことでしょう。
でもこの音圧はスタジオで実機を鳴らさないと伝わりません。アンプの前に立ってギターを弾くと、ドンッと迫りくる音の壁が感じられますよ。ハイゲインを求めているのであれば、5150はベストな選択肢だと思います。
アンプシミュレーターを否定しているわけではありませんよ!5150の再現度は見事ですし、僕も自宅で使っています。
また5150の歪み量は最新のハイゲインアンプにも負けませんが、ノイズ対策は必要でしょう。特にジェントのようなジャンルは完全なミュートが求められるので、ノイズゲートは必須ですね。
これはプリアンプから発生するノイズなので、ノイズゲートはセンド・リターンにつなぎましょう。
僕はこのノイズも魅力だと思うんです。5150はギターのボリュームをゼロにしてもシューッというノイズが出るんですが、これがカッコいいんですよ。獲物を狙う肉食動物の唸り声みたいで。
これだけ強力なアンプですが、やっぱりクリーン・トーンは不向きですね。特にライブでは要注意です。ワンフレーズ程度なら問題ありませんが、ガッツリと使うのであればABボックスを使ってJC120から出しましょう。
ピーヴィー・5150の買取価格
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