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楽器の買取屋さんコラム

MarshallのJCM2000とは?スペックのレビューとセッティングのコツ

日本全国のリハスタやライブハウスでおなじみのギターアンプといえば、ROLANDのJC-120とMarshallのJCM2000ではないでしょうか。特にしっかりと歪ませたいギタリストであれば、JCM2000の知識を身に着けておきたいもの。こちらにはJCM2000の情報を集めましたので、より理想的なサウンドメイクができるでしょう。

JCM2000とは?

JCM2000はギタリストにとって身近なアンプのひとつ。しかしツマミやスイッチ、チャンネルの意味を知らずに使っているギタリストも多いのではないでしょうか。こちらではJCM2000について具体的な解説をいたします。

JCM2の歴000史

今でこそ定番のギターアンプとなったJCM2000ですが、どのような歴史を持っているのでしょうか。未だに根強い人気を持つJCM2000の歴史を振り返りましょう。

ハイゲインが求められる時代

MarshallのJCM2000は1997年に誕生しました。この時代はギターサウンドのハイゲイン化が進み、PEAVEYの5150やMESA BOOGIEのレクチファイヤーなどのハイゲインアンプが人気になっていました。 ロックギターの歪みをクリエイトしてきたMarshallですから、そこで黙っていることはできません。

そこでJCM800をさらにハイゲイン化したJCM900を1990年に発売したのです。 JCM900のハイゲインサウンドはたちまち人気アンプとなりましたが、ヘヴィメタルやラウドロックのハイゲイン化は留まることを知りません。そこでMarshallはJCM2000を開発し、チューブアンプならではの分厚い歪みで世界中のギタリストを魅了したのです。

 

当時貧乏学生だった僕にとって、JCM2000は5150やレクチファイヤーと並んであこがれのアンプでしたね

 

 

Peavey・5150のスペックやセッティングを徹底レビュー

多チャンネルにも対応

90年代にギターアンプに求められていたのはハイゲインサウンドだけではありません。複数のサウンドに対応した多チャンネルも求められていました。JCM900は歪みとクリーンの切り替えのみでイコライザーも共通。

そのためステージでの使い勝手が悪かったのです。 そのためJCM2000は独立2チャンネルのDSL、独立3チャンネルのTSLの2モデルを用意。これによってより多彩な音作りが可能になり、ステージ上での使い勝手も大きく向上しました。

 

今でこそ多チャンネルのギターアンプは当たり前ですが、当時は画期的なことでした

 

2種類のJCM2000

JCM2000には2チャンネルのDSLと3チャンネルのTSLの2種類があります。これらには違いがありますので、どちらのタイプにも対応できるようにしておきましょう。

2チャンネルのDSL

リハスタやライブハウスで最も見かけるJCM2000はDSLでしょう。これはDual Super Leadの略で、2チャンネル仕様となっています。しかしそれぞれのチャンネルに2種類の歪みがありますので、4チャンネルのような使い方が可能。人気モデルであることから、現在はDSLシリーズとして販売されています。

クラシックゲイン・チャンネル

DSLのひとつのチャンネルはクラシックゲイン・チャンネルと名付けられています。こちらはMarshallらしい太めのクリーントーンだけでなく、クランチをONにすることが可能。

このクランチは昔ながらのヴィンテージMarshallサウンドで、GAINとVOLUMEを上げることでナチュラルなオーバードライブが得られます。まさにクラシックゲインと呼ぶにふさわしいサウンドです。

 

ハイゲインのイメージが強いJCM2000ですが、この艶っぽいクランチも大きな魅力です!

 
ウルトラゲイン・チャンネル

JCM2000のハイゲインサウンドを堪能するならウルトラハイゲイン・チャンネルでしょう。こちらはLEAD1、LEAD2というキャラクターの異なる歪みの切り替えができます。

LEAD1は分厚い歪みでバッキングに最適。LEAD2はロングサスティーンを使ったリードプレイに向いています。十分な歪み量なので、スウィープやタッピングを多様するテクニカルなギタリストにピッタリでしょう。

 

このチャンネルこそJCM2000の醍醐味ですね!

 
デメリット

DSLは2チャンネルでありながら歪みが切り替えられるので、4チャンネル的な使い方ができるアンプ。しかしイコライザーは各チャンネルで共通です。そのためステージでの使い勝手の悪さを感じるギタリストもいるでしょう。そういった場合はエフェクターで対応してください。

独立3チャンネルのTSL

TSLはTriple Super Leadの略で、3チャンネル仕様となっています。各チャンネルでイコライザーが独立しているため、ステージ上でより幅広いサウンドが出せるでしょう。DSLと比べると少し数は少なめですが、それでもリハスタやライブハウスでよく見かけるモデルです。

クリーン

Marshallらしい太いクリーンはもちろんのこと、セッティング次第ではクリスタル・クリーンを作ることもできます。さらにGAINを上げることでナチュラルなオーバードライブとなり、ゴキゲンなクランチ・サウンドになるでしょう。

クランチ

ジャキジャキのクランチを出すならこのチャンネルです。しかしGAINを上げることで荒々しい歪みとなり、ハードロックや80年代メタルのバッキングに向いたサウンドになります。

リード

TSL最大の歪み量を誇るチャンネルです。極太のロングサスティーンが可能で、しっかりとギターを泣かせられるでしょう。十分な歪み量なのでテクニカルなスタイルのギタリストにも向いています。

デメリット

TSLは3チャンネルとなっており、それぞれにイコライザーが搭載されています。そのためDSLよりも使い勝手が良いように思えますが、そこには注意が必要。各チャンネルの歪みが1種類だけなので、逆に使いにくさを感じることもあるんです。そのためDSLとTSLは目的に合わせて選びましょう。

JCM2000のスイッチとツマミ

JCM2000には独自のスイッチやツマミがあります。直感で操作することも可能ですが、より細かいサウンドメイクをするのであれば意味を知っておきましょう。こちらではそれぞれの解説をいたします。

TONE SHIFT

TONE SHIFTは中音域を下げる効果があります。中音域をカットすることでドンシャリサウンドになりますので、ヘヴィメタルなどのバッキングに向いているでしょう。しかしこれによって抜けが悪くなることもありますので、全体のバンドサウンドとバランスを取ってください。

 

ドンシャリって1人で弾いていると気持ちいいんですが、バンドで合わせると音がかき消されるんですよね

 

DEEP

DEEPスイッチを入れることで超低音域をブーストすることができます。より分厚いバッキングをするために不可欠なスイッチでしょう。しかし超低音域が強調されることで音の分離が悪くなることもあるので注意してください。

 

安易な低音ブーストは危険!サウンドがボワボワしちゃって演奏のキレが無くなるんです

 

REVERB

JCM2000にはスプリングリバーブが搭載されています。リバーブのかかり方にクセがありますので、デジタルリバーブに慣れているギタリストは注意しましょう。

 

スプリングリバーブはリバーブタンクというパーツがあり、内部には本当にスプリングが入っているんですよ。昔分解したことがあります(笑)

 

MID BOOST

MID BOOSTはTSLのクリーン・チャンネルだけに設置されたスイッチです。これ中音域をブーストできるので、サウンドに太さを出すことができます。シングルコイルでハイがキツく聴こえる際も効果を発揮するでしょう。

JCM2000のセッティング

 

こちらでは僕なりに考えたJCM2000のセッティングをご紹介します。アンプのモデルは3チャンネルのTSLで、ギターはツーハムです。

クリーン

JCM2000は比較的太めで力強いクリーンです。僕としてはもっとクリアなクリーンを出したかったので、TREBLEは1時まで上げました。太さを抑えるためにBASSは9時半にします。

このままではややパワー不足を感じたのでMIDDLEは12時半にしました。 GAINは8時半ですね。MID BOOSTはOFFです。PRESENCEは10時でDEEPはOFF、REVERBはお好みですが1時にしておきました。 このセッティングならリアピックアップで軽快なアルペジオが弾けます。ハーフトーンでファンキーなカッティングをしても良いでしょう。

 

JCM2000のクリーンって個人的に好きなんですよね。音に適度な甘さがあるんです

 

クランチ

クランチはやはりクランチ・チャンネルですね。サウンドにカリッとした軽さを出すためにBASSは8時半にして、MIDDLEも10時にしました。このままではちょっとハイがキツく感じたのでTREBLEは10時にしてあります。

GAINは9時半ですね。これ以上は歪みが強くてディストーションっぽくなるんですよ。PRESENCEは9時半、REVERBは11時半、パワフルにするならDEEPはONで。 このジャキジャキ・サウンドはコードをかき鳴らすようなパンク、ガレージなどに向いています。音の粒立ちが良いのでコード感もしっかり出ますよ。

ハイゲイン・バッキング

やっぱりJCM2000といえばハイゲインですよね。ヘヴィメタルやラウドロックのバッキングを目指しました。まずBASSはマックスですね。さらにサウンドをプッシュするためにMIDDLEは2時半。適度なザクザク感を出すためにTREBLEは1時にしました。 GAINは1時半で十分です。

このままでは切れ味が悪いので、TONE SHIFTをON、DEEPをOFFにしました。PRESENCEは10時、REVERBは11時半です。

やっぱりこれがJCM2000ですね。攻撃的で切れ味のあるリフがたまりません。しかもJCM2000は比較的ノイズが少ないので、しっかりとしたミュートができます。これはタイトな演奏に欠かせないポイントです。

ハイゲイン・リード

ロングサスティーンやテクニカルなプレイに向いたセッティングです。BASSは1時半にしてサウンドに太さを出しました。MIDDLEはマックスのちょっと手前まで。これで滑らかな速弾きが可能になります。このままで1弦を弾くと少しピッキングノイズが気になったので、TREBLEは11時まで下げました。

GAINは2時まで上げます。これ以上は粒立ちが悪くなるので注意しましょう。TONE SHIFTはON、DEEPはOFFです。PRESENCEは10時、リードなのでREVERBは12時半にしました。

これはずっとピロピロ弾きたくなりますね。極太のサウンドなのでチョーキングも気持ちいいです。JCM2000ならこのリードサウンドを一度は試すべきですね。

 

ごまかしが効くセッティングでもあるので、このサウンドに慣れることは危険ですよ!確実なピッキングを忘れずに!

 

JCM2000の感想

JCM2000はあまりに身近なアンプであることから、軽視されることも少なくありません。しかしハイゲインはもちろんのこと、ジャキジャキのクランチや太くて芯のあるクリーンも魅力的です。

そしてジェントやメタルコアをプレイするギタリストの中には、「JCM2000では歪み不足」と考える方もいることでしょう。しかしブースターを使うことで十分な歪み量を得ることができます。 現在のMarshallのフラッグシップモデルはJVMですが、サウンドが少しHi-Fiな傾向にあります。

 

しかしJCM2000は昔ながらのワイルドな歪みですので、生々しく攻撃的なサウンドを求めるギタリストに向いているでしょう。ぜひ一度じっくり向かい合って欲しいアンプです。

 

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